2018年1月17日水曜日

手を使うこと、イメージ、音

最近『137億年の物語』という本を買ったのだけど、評判通り面白い本だった。

この本はイギリスの科学ジャーナリスト、クリストファー・ロイドによる、ビックバンから現在まで137億年の歴史解説書だ。



この著者がとてもユニークな人物で、この本を書いたきっかけも興味深いものだった。それは彼の7歳の娘が学校が退屈だと言って行かなくなった事だった。
他の学校を探したり、家庭教師をつけたけど娘の退屈は続いて、何に興味があるのか聞いたら「ペンギン」だと言う。

それでロイドは娘と動物園に行ってペンギンを見て、ペンギンの生態や南極の氷について親子で調べ、氷山にぶつかった豪華客船の話や、ペンギンにまつわる詩や歌など、ペンギンから興味を伸ばして生物、科学、数学、歴史、文学、音楽と学ぶことで娘は好奇心を取り戻していった。


ロイドは勤めていた教育系出版社を辞めて、キャンピングカーを買って娘と旅に出た。
6ヶ月の旅の中で、興味のあることから枝葉を広げて学ぶうちに、それぞれの細分化した専門書はあるけれど、それらを結びつけて全体像を見られるような本がない事に気がつく。
充実した旅から戻って娘は学校へ、そしてロイドは見つけられなかった「すべての物事が繋がっている世界」が書かれた本を、自分が書こうと執筆に取り掛かった。



知識を小分けにして持っているだけでなく、全体像をつかむ能力がとても大切なことは、音楽に当てはめてみてもよく分かるし、何でもそうなのかもしれない。
沢山の要素が入った大曲を、要素それぞれの知識だけで組み立てると-----粘土で人間の彫刻を作るとき...最初から耳や鼻の凹凸を作っておいてから整形すべきところ、後から耳や鼻を作って付けると乾いた時にポロリと取れてしまう-----そんなちぐはぐな事が音楽でも起こってしまうから、全体像を具体的につかみ取る能力というのはとても大切なことなのだろう。



2013年、ロイドが東京大学で講演した動画がある。

キャンピングカーの旅に出るまでの経緯と、旅でどんな学びをしていたのかを冒頭で話していて面白い。

そして動画の後半では、最近は脳について調べていると話していて、人間が何かを学びたいならば手を使うことイメージ(視覚)、そしてを通して学ぶことが大切だと言う。元々私たちには、この3つの感覚を通じて学ぶ脳の回路が存在していると、進化の過程からなぜそういう回路になったのかを説明している。


この3つは楽器を弾くのにも必要不可欠で、なるほど、私は幼少期から青年期までの子供がする習い事や遊びとして、楽器を弾くのと虫捕りや魚捕りはなかなかいいんじゃないかと思っている。それは手先を使って、イメージと行動と結果と修正を繰り返しながら身体と脳の連携を鍛えやすいからで、身体と脳の連携は何をするのにも大切な基礎だと思うからだ。



虫捕りや魚捕りには自然の中に身を置くことでしか養われないもの、という特典があるようにも思えるし、楽器の練習では、うまくいったか出来なかったかの差が分かり易いから、なおさら3つの要素と脳の連携が意識的に行われるようにも思う。
まぁ好きなものに集中するのが楽しいわけで、楽しいというのは学びの基本だから、好きなのものを取り入れて成長していくのが1番いいし、キャンピングカーで欧州を巡ったこのお嬢さんは幸せだな、と動画を見ながら思っていた。


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YouTubeに菅田将暉の『まちがいさがし』をアップしました。 米津玄師が「菅田将暉の声が最大限に発揮できる曲を」と作った曲で、何より「歌」が活きる作りになっています。 なので今回は歌の持つ「まっすぐな」雰囲気を残しつつ、ピアノの音色やハーモニーも楽しめるアレンジにしてみま...